クラウドファンディングの締め切りがついにあと数日になりました。せっかくですので、ご支援者の方からの希望があったため、潰瘍性大腸炎診療における最近のトピックスを紹介させて頂きます。
従来より、潰瘍性大腸炎の診断は感染症や薬剤性などの除外診断で行われてきましたが、最近、京都大学のチームから画期的な新しい診断マーカーの発見がありました。抗インテグリンαVβ6抗体と呼ばれるもので、大腸粘膜を構成するタンパク質の一種に対する自己抗体です。実に9割以上の潰瘍性大腸炎患者さんで陽性となり、クローン病や健常人の方では陽性者は少ないそうです(1-2)。さらに、興味深いことに、今年になり、欧米の大規模な研究で、潰瘍性大腸炎の診断10年前までさかのぼってもこの抗体値は高値であることが示され、もしかすると予測診断にも応用ができる可能性が指摘されました(3)。現在、この抗体技術の開発が進められており、診断・治療への応用が期待されています。
もう一点、潰瘍性大腸炎の病因は遺伝要因、腸内細菌、環境要因など多岐にわたるとされていますが、中でも、「抗生剤の使用歴が腸内細菌叢の乱れにつながり疾患発症の要因になる」という都市伝説のような話がありました。今月、その仮説の大規模な実証データの報告が欧米から出ました。それによると、40歳以上の人において、抗生剤(消化器の感染症に使用されるようなものと記載があります)の使用歴は炎症性腸疾患の発症リスクになるそうです(4)。しかも驚くべきことに、抗生剤使用後1-2年後に最もリスクが上がるようです。
この事実は、日々の日常診療においても、多剤耐性菌の出現だけではない新たな注意すべきポイントかもしれません。
このように、基礎研究や公衆衛生的な切り口からも炎症性腸疾患の診療は日々進歩しています。私達の研究もその一歩になり、より便利で有益な医療が患者さんに届けられるよう頑張りたいと思います。
参考文献
1) Gastroenterology. 160(7):2383-2394, 2021.
2) Gastroenterology. 163(4):1094-1097, 2022.
3) Gastroenterology. 164(4):619-629, 2023.
4) Gut. 72(4):663-670, 2023.
クラウドファンディング助成の公募期間も残り約10日となりました。ここまで多くのご支援を頂きましたことを改めて感謝申し上げます。
この度、私達の研究活動が東海大学の公式ホームぺージに取り上げて頂く機会をもらいました。一つ一つ積み上げていきながら、炎症性腸疾患の患者さんのためより良い社会へとつながるよう頑張っていきたいと思います。
残りの日数、変わらずご支援のほど宜しくお願い致します。
https://www.u-tokai.ac.jp/ud-medicine/news/4663/
目標額を超えてのご支援を頂き本当に感謝いたします、ありがとうございます。
この度、私達が平行して進めている、もう一方の炎症性腸疾患であるクローン病に関する研究を無事に論文として発表することができました。
クローン病の患者さんは現在は多くの新薬の登場によって飛躍的に治療成績が向上しましたが、時間経過とともに腸管の線維化や狭窄が発生することが問題となっています。その場合、手術や内視鏡による拡張術が行われますが、非常に再発率が高くコントロールが難しいとされています。しかしながら、その詳しい病態形成はまだ分かっていません。
私達はその腸管線維化に特定の腸内細菌が関与していないかと考え研究を継続しています。将来的には、その細菌の存在診断やその細菌だけを排除する治療ができないかを考えています。目の前の患者さんの治療とともに、将来の医療への進歩を止めない活動を今後も続けていけたらと思っています。
変わらずのご支援のほど、どうぞよろしくお願いします。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2023.1031997/full
今回は学生リサーチャーの紹介をさせて下さい。
2019年から始まった新型コロナウイルス感染拡大の影響は、学生の生活にも大きな支障を与えたことはニュースでもよく見かけたと思います。友達同士の交流も減り、多くの活動や授業が禁止され、リモートでしか会ったことがない同級生がいるといったことがあり、私達の大学の医学部も大きな影響がありました。
そのような中、新しい一面も見ることができました。部活などの学生生活が制限されてしまう中でうまれる時間を、基礎実験や研究活動に興味を持ってくれる医学部生が出てきています。私が医学部生であった時にはとても想像できない意欲だと感じます。
きっとこのような子達が社会に出た時に、日々の日常診療の中で落ちている小さな疑問も、丁寧に研究に落とし込んで解決して、医学界に貢献できる医師になってくれると信じています。そして、そんな卒業生がしっかり育つ大学であって欲しいと願っています。ぜひ温かいご支援を頂ければと思います。
Detection of Atrial Fibrillation in a Large Population Using Wearable Devices: The Fitbit Heart Study(Circulation. 2022.146(19):1415)
今回は注目すべき関連する研究として、昨年末に米国ハーバード大学から報告のあったものを紹介させて頂きます。なんと約45万人もの規模で行ったウェラブルデバイス(fitbit)を使った観察研究です。参加者はもともと不整脈と言われていなかった人達でしたが、半年間の観察で、なんと参加者の約1%に当たる4728人に不整脈が感知されたそうです。そのうち、精密検査まで進んだ人の中には確かに高確率で心房細動と呼ばれる脳梗塞の原因となる不整脈の診断になりました。
もしかすると今までは、こういった人達が突然の脳梗塞や心不全などの病気に至っていた可能性があるとすると、ただ時計を付けているだけで病気の予防になる可能性があるというのは、素晴らしい目指すべき医療の未来ではないかと感じました。
個人的には、ウェラブルデバイスの研究はまさにこの心臓の研究が最も進んでいると思います。しかし私達の研究もこうした時代の流れに負けないように、炎症性腸疾患の患者さんにもしっかりと届けられよう頑張りたいと思っています。どうぞご支援をお願いします。
「脳腸相関」という言葉をご存じでしょうか。
脳の働きが腸へ、または腸内環境が脳へ、そういった一見離れた臓器が互いに影響しあうことが研究で明らかになってきました。テスト前にトイレに行きたくなる、出勤や通学のある平日は便秘になるなど、よくよく考えるとありふれた症状もあり以前から身近なものでした。その他、自閉症の一部やストレスに対する応答の違いも腸内の環境に影響されていると言われています。
その脳腸相関の一旦を研究しているチームが精神科にあり、私達はコラボレーションをしています。東海大学医学部は時に診療科の垣根を気にせず、課題に取り組むことを大切にしています。ぜひご支援を頂ければと思います。よろしくお願いします。
向かって左は大学の同級生、20年経った今も変わらず友人でありリサーチパートナーであることを嬉しく思います。
炎症性腸疾患の中には大きく潰瘍性大腸炎とクローン病という2つの病気があります。
私達は今、潰瘍性大腸炎に対するスマートウォッチの臨床研究とともに、クローン病については腸内細菌の基礎研究を平行して行っています。ここ最近、人の腸内細菌が網羅的に解析できるようになり、様々な病気に特徴的な腸内細菌が特定され、いわゆる悪玉菌と呼ばれる存在がテレビやインターネットでも取り上げられるようになっています。そして、クローン病にもやはり病気に特徴的な腸内細菌の存在が徐々に明らかになってきました。私達はそのような悪玉菌の保菌者の診断や治療ができないかの研究を行っています。それには、細菌学の専門家、免疫学の専門家とチームを組んでやることがとても大切です。東海大学医学部では、臨床医学と基礎医学が互いに手を取り、病気の解明に取り組んでいます。
私達のチームも、今年になり2つの学会賞を受賞する成果を挙げています。今後も炎症性腸疾患の患者さんのため日々挑戦を続けていきたいと思っています。
初日にも関わらず、温かいサポートを頂きありがとうございます!本当にうれしく思います。
IT技術の医療への応用は今後もさらに進んでいき、私達の受ける診療、提供する診療はもっと便利で有用なものに変化していくと思います。しかし、おそらく高血圧や糖尿病など患者さんの数が多いものがまずは取り組まれていくはずです。しかし、私達は、患者数は生活習慣病に比べて少ないものの、若くして罹患してしまい、QOLが大きく下がってしまう炎症性腸疾患の患者さんにIT技術を用いた便利な医療が届けられたらと思っています。明日以降もどうぞご支援のほどよろしくお願いいたします。
SSL encryption communication is used in this Web site, and the informations filled out are safely transmitted.
/ Donation receipt
5
supporters
back
(No quantity limit)
/ / Donation receipt
7
supporters
back
(No quantity limit)
/ / / Donation receipt
7
supporters
back
(No quantity limit)
/ / / / Donation receipt
5
supporters
back
(No quantity limit)
/ / / / / Donation receipt
2
supporters
back
(No quantity limit)
/ / / / / / Donation receipt
2
supporters
back
(No quantity limit)
/ / / / / / / Donation receipt
4
supporters
back
(No quantity limit)